正当性にしがみつく理由

昨日のブログで、「正当性」にしがみつくことについて示唆しましたが、今日はそれがどのようにして起こっているのか、どのように手放して行けるかについて書いてみたいと思います。


正しさを追い求める人は、自分が正しいことをしていたり正しいポジションにいないと感じることに対して、非常に大きな恐れを持っています。

その恐れの奥にあるのはある種の不快感を感じることであり、がっかりする(失望する)、不安、怒り、淋しさや悲しみ、無力感、絶望といったものを感じることです。

実際、どんな出来事にもそれ自体には「正しい」とか「正しくない」といった絶対的な区別はないのですが、私たちはしばしば自分なりの基準に従って、これらのラベルを貼り付けてそれを見ています。

その基準というのは多くの場合、心地よくない感じがするものを「正しくない」とし、「心地よいもの」が「正しい」と判断されますが、失望や怒り、悲しみなどは心地よいものではありませんので、「正しくない」というラベルが貼られることになります。

正当性にしがみつく人は、不快な感覚を避けたいという思いが非常に強いが故に、「正しいこと」をして心地よい状態になることを求めています。

ただ、こういう傾向の強い人ほど自分を「正当性」という鎖で縛り付け、がんじがらめにして却って自分を苦しい状態にさせていることが多いように思います。

また、「受容することを拒絶されたものは、受容されるまで繰り返し差し出される」という法則があるので、余計に避けているはずの感情が浮上させられる出来事を引き寄せてくることもあります。

ちょっとここで、「私は正しい」というポジションから降りてものごとに対峙したとき、どんな感じがするか、意識を向けてみましょう。

途端に自分の信じていた軸を失って、足元が崩れ落ちるような不安定な感じがするかもしれないし、正当性を盾に相手を責めていた人は、自身の内に何かしらの後ろめたさを見つけるかもしれません。また、どうしようもなく深い絶望が襲ってきて、混乱してしてしまったりするでしょうか。

いずれにせよ、正当性を支えにすることによってバランスを保っていたものが、支えられなくなって収まり切らなくなり、浮上してくることになるでしょう。

正当性は、これらを何とか感じないでいられるよう、自分を守る役割をしているわけです。だからこそ、それを手放せれば自由になると頭で分かってはいても、手放してしまうことは容易ではないのです。

自由になるには、責任を取ることが大前提になりますが、自分が放棄していた苦しい感情を受容するという責任をしかと取るのだと決められるかどうか。正当性にしがみつく自分を解放するには、ここがカギになります。

正当性というポジションを手放せないと、相手とニュートラルな視点で対話をすることができません。正当性が自分にあるのなら、当然相手は間違っているということになり、正当性にしがみつくほどに、相手を断罪し、分かり合うことはできなくなります。

また、あなたがそういうポジションを崩さないということは、鏡の法則を通して、相手もまったく同じように正当性にしがみつき、「お前の方こそ間違っている!」と糾弾して来るでしょう。

表だって荒れることが無くても、向き合えばお互いに平行線になるのが分かっているので、向き合うこともなく、背を向けて分かり合えない虚しさをともに抱え続けているのかもしれません。

このように硬直した関係を解いていくには、まずは自分の方が先に、盾にしている正当性のポジションから降りる必要があります。

鏡の像を変えるには、鏡に映している本体の方を変えるのが先であり、鏡の像が先に変わることはありません。そしてまた、変化は瞬時に像に反映されます。3日先、1か月先ということはないのです。

自分が正しいのでもなく、相手が間違っているのでもない立場に立って初めて、相手の視点や相手の気持ちを見られるようになります。

相手は、あなたがそれを頭ではなく心情で理解し、受け止めてくれている実感を持ったときに、あなたの言葉に耳を傾け、真摯に向き合ってくれるでしょう。その実感が得られるまでは、固く閉ざされた心の扉が開くことはありません。

あなたが相手の立場だとしても、そうではありませんか?

たとえ自分の信条を曲げられなかったとしても、相手の言動の奥にある気持ちが理解できると、反発の気持ちも和らぐものです。そして相手の中に見たその気持ちは、表に出ている表現方法こそ正反対かもしれないけれど、自分の中にあるものと同じだと、気づくでしょう。

そうなると、相手と戦う気持ちは一瞬にしてなくなります。そして、自分自身のその要素とも、戦わなくなるでしょう。

誰かや何かと戦っているとき、本当は何と戦っているのか、本当は何を求めていたのか、深く深く自身に問うてみることです。



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